長谷川の教育論[10]

● 日本は学歴社会ではない。先進国の中で、日本ほど学歴が通用しない国はない。高卒と大卒の初任給格差も最低だし、学校名で給与が違うこともない。それどころか、学校名を伏せて採用する企業も少なくない。日本は、いたって真っ当な能力社会である。問題は、その先に何が待っているかだ。グローバル化が日本より進んでいるアメリカでは、例えばNASAで働く人の3分の1はインド人である。あの世界企業マイクロソフトの従業員の3分の1もインド人だという。これは近年、インドがIT教育に力を入れ、優秀なプログラマーを大量に輩出している結果だ。グローバル社会では学歴はおろか、国籍までも超越した能力社会が構築される。日本でも、社内公用語を英語にして、多国籍の従業員を積極的に採用している企業が現れている。つまり、日本企業に勤めても、能力のない日本人は優秀な外国人の後塵を拝するという結果が待ち受けているのだ。能力社会は学歴社会よりずっと厳しいと覚悟しなければならない。

 日本の小学校で習う「九九」は、世界に冠たる指導方法だ。インドではそれを発展させ、「20×20」までの暗記をさせている。優秀な子どもは「100×100」まで覚えているという。「電卓を使えばいいじゃないか」という声が聞こえてきそうだが、人の脳の機能は、そうした単純作業によって鍛えられ高性能化することが近年の研究で分かってきた。だから、百マス計算という単純計算の手法が受け入れられる。

 子どもにとって、暗記作業は苦痛だ。「なぜ、こんな語句を覚えなければならないのか」「こんな公式を覚えて何の役に立つのか」…様々な疑問が沸き起こるのも無理はない。正直に答えれば、「今、君たちが暗記していることは、ほとんど将来の役には立たない」というのが正解だろう。本当に役に立つ知識や技術は、もっと先にある。しかし、基礎知識の蓄積のない者、若い頃に脳を鍛えていない者に、そうした技能は習得できない。

 我々大人の役割は、子ども達の先達となってその辛くつまらない修業の道を挫けずに歩ませてあげることだ。教育の本質はそこにある。

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