長谷川の教育論[20]

● このコラムでも論じてきたことだが、「教育」に正解はない。あったとしても、答え合わせができるのは10年後、20年後のことだ。ただ、だからこそ教育を施す側の大人たちは、常に情熱を持たなければならないと考えている。我々は機械を作っているのではない。人間を育てているのだ。人間が感情の動物である以上、たとえ教育手法は拙くとも、その思いは伝わり、必ずや子どもの成長に寄与すると確信する。

 我々塾人が子供たちに関われるのは「学習」という狭い範囲の、それも大学受験までという期限付きだ。しかしその短い期間をどう捉えるか。それが重要だ。面白い計算がある。

 0.1mmの厚さの紙を50回、折り畳むことが出来たとしよう。その厚さはどれだけになるだろう。驚くことなかれ、折り畳まれた紙は太陽まで届こうかという厚さになる。例えば週に1回、数学を受講している生徒は、通常授業・テスト対策等で年間50回は通塾しているだろう。我々指導者は、その度に生徒の持っている見えない紙を折り畳む作業をしている。最初は楽に畳めるが、回数を重ねるごとに難しくなる。しかし、そこで諦めたら太陽には届かない。生徒自身も同じである。自らが持つ見えない紙を必死で折り畳む。教師と生徒の壮大な共同作業だ。人間形成に関しては、そこに保護者も社会全体も加わる。

 -それが人間を育てる…いわゆる「教育」の姿である。そして、その営みは永遠に次世代へと引き継がれていく。

 確かに、我々が子供たちと接するのは狭い範囲、短い期間かもしれない。しかし、その一期一会に見えない紙を1回折り畳むことができれば、いつかきっと太陽へと届くことができるだろう。ましてや、日々我が子と接している保護者の皆さんには是非、一日一回は子どもの見えない紙を折り畳んでほしい。何、難しいことではない。笑顔で「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえり」「おやすみ」と声を掛けてあげることだ。それだけで子どもの「心の紙」は折り畳まれ、厚く確かなものになっていく。

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