長谷川の教育論[7]

● 今、公立学校の週6日制復活の議論がされている。喜ばしいことである。もともと、学校週5日制は、「日本人は働きすぎだ」という欧米の外圧によって週休2日制が企業に導入され、その波が公務員にも押し寄せたことに発端がある。「子どもにゆとりを」というのが後付けだったことは周知の事実だ。最近、やっと「ゆとり教育」の間違いを文科省も認め、是正に動いているが、もともと間違った認識から「ゆとり教育」の導入が決まったことは、当時の専門家なら誰もが知っている。

 例えば、導入を推進していた当時の有馬文部大臣はマスコミのインタビューに次のように答えている。「長期の塾通いは絶対に良くない。ある段階において、1年なり半年なり徹底的に試験勉強という訓練に耐えることも必要だが、それが5年も6年も続くのは異常なことだ」

 私は、この記事を読んで驚いた記憶がある。受験のために5年も6年も訓練を続けている塾や生徒を見たことがなかったからだ。そして、塾業界に身を置いて実感しているのは、どの塾も家庭も有馬氏の言う「1年なり半年なり試験勉強という訓練に子供たちをどう立ち向かわせるか」に苦心していることだ。確か、有馬氏は東大の元総長だったと思うが、こんな現場を知らない人が「ゆとり教育」を推進してきたのかと思うと、いわゆる「ゆとり世代」の若者がかわいそうでならない。この「ゆとり教育」の導入を機に大手企業を辞め、教育界に転身した自らの決断は間違っていなかったと改めて思う。

 間違った認識は、多くの家庭にもある。例えば、「日本は学歴社会」という神話だ。実は、他国と比べると日本は学歴社会でも何でもないことが分かる。高卒と大卒の賃金比較を見ると、イギリスやドイツが2倍、アメリカや韓国が1.6倍なのに対して、日本は約1.3倍でしかない。これのどこが学歴社会だろう。日本は先進諸国でも稀な能力社会、あえて言えば学力社会なのだ。つまらぬ風聞に惑わされず、本質を見る目を持ちたい。子どもに必要なのは学歴という薄っぺらなレッテルではなく、学力という確かな生きる力なのだ。

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